よく、深夜徘徊をしていた。といっても、夜中に街を遊び回るのではなく、深夜にカメラを持ってうろつき回るのだ。そして、光のない中、わずかな光を求めてはシャッターを切っていた。田舎の深夜とはいえ、街には光がともっていた。真の意味での闇の世界はもはや存在しないのだろう…。それでも、闇のただ中に輝く光にボクは引き寄せられていた。青空の中に広がる白い雲と光の輝き以上に、光が眩しく見えていた…。あの頃は、光と闇が取って代わる瞬間が怖かった。何もかもが崩れ去って、自分が消えてしまいそうな…そんな気がした…いや、そうではなく、消えてしまいたいと、そんな風に感じていた。そう、光から闇へ、闇から光へと世界が入れ替わる瞬間に、ボクは消え失せるのだろうと…。その瞬間をいつも待っていたような、そんな記憶が、心の片隅に、今でも残っている…。